大型特殊教習記・第1段階


1997年9月8日
 

 今日は初めての教習だ。受け付けから橙色の教習手帳と教習 原簿を受け取った。
 渡された教習手帳を見た。最短で第1段階は1時限、第2段階は 2時限、第3段階は3時限の計6時限となっていた。
   
 教習時間5分前になったので、教習車の所に行った。
 教習車をよく見るとスペック(最高速度や車両総重量など)が表示 されているプレートがあった。
それによると、車名は910ホイールローダー(3F−1R)
最高速度は前進で24.3km/h、後退で10.9km/h。原 付の法定最高速度よりも遅いではないか。
馬力は66ps、ここで前に乗ったCB750の方が馬力がある。
 しかし、トルクはここの自動車学校の教習車両の中では間違いなく最強であろう。
(注:トルクはエンジンの回転力、馬力はトルク×最大トルク発生回転数)
 車重は9t以上。これではスピードが出ないわけだ。
タイヤの直径は約1.2m、座席の高さは地上から1.6m以上あ る。さすがにでかい。
 教習車を見ていたら、指導員が来た。どこかで見たことのある人 だと思ったら、大型二輪の時に一番最初に教わった指導員であった。 「今度は大特だな」と言われた。
 その指導員に、「これがキーです」と言って教習車のキーを渡さ れた。普通車のそれとは全然違う形のキーだった。普通車のキーは ドアのカギに近い形をしているのだが、大型特殊車のキーはキーの 先がふたまたに分かれていて、それぞれの先がカギ状になっている。
 指導員に助手席に座るように指示されたので、自分の身長よりも 高い助手席に乗り込んだ。慣れていないので乗り込むのに少し苦労 した。
 教習車用に取って付けたような助手席に座った私は、シートベル トを探した。そうしたら、「この車シートベルトないんだ」と言わ れた。そして、ドアを閉めようとしたら、「ドアは開けたままにし て。ドアの所にネジがあるから、そのネジを締めてドアを固定して」 と言われたので、その通りにした。
 指導員はキーを穴が二つ開いたキーシリンダーに差し込んだ。そ して、「アクセルを一旦いっぱいに踏み込みます」と言って、アク セルを踏み込み、ハンドルの左にあるシフトレバーをニュートラル にしてキーをひねった。セルモーターの回る音とともに、エンジン がかかった。「この車はキーを戻してもエンジンは止まりません。 エンジンを止めるときはアクセルペダルを手で引っ張ります」とい い、アクセルペダルを引っ張った。するとエンジンが止まった。そ してギアをバックに入れた。
 どうやら、アクセルを一旦踏む動作は、バイクのメインスイッチ をONにする操作に当たり、キーをひねるのはセルボタンを押す動 作に当たり、アクセルペダルを引っ張る動作はメインスイッチをO FFにする動作に当たるらしい。
 指導員が操作装置の説明をした。「右のペダルはアクセル、真ん 中のは走行用ブレーキ、右にあるのはクラッチではなく作業用ブレー キです」(この作業用ブレーキは指導員用補助ブレーキも兼ねてい る)「右側にあるレバーでバケットを操作する。このプレートでバ ケット操作レバーをロックする。その隣にあるのがハンドブレーキ。 立てた状態でハンドブレーキが掛かり、水平に倒すとブレーキが外 れる。ハンドルの右側にあるのがウインカーレバー。左側にあるの がシフトレバー。発進するときは2速で発進してすぐに3速にして 下さい。セミオートマなのでレバーを操作するだけでいいです」
 「ハンドルはこれ(ハンドルに小さなドアノブのようなのが付い ている)をつかんで左手だけで回して下さい」私は「右手はどうす るんですか?」と聞いた。指導員は「作業中は右手でバケット操作 をします。そのために左手だけでハンドル操作できるようになって います。右手は作業をしない時は、レバーをロックして、レバーを つかんでいるか、膝の上にでも置いて下さい」 

 指導員は「では、さっそく動かしてみましょうか」と言い、 ギアをニュートラルにし、エンジンを掛けて、作業用ブレーキを踏 みながら、バケット操作用レバーのロックを解除しレバーを後ろに 引いた。すると地上に接地していたバケットが上がった。次にレバー を左に倒した。バケットが上方向に向いた。精いっぱい上に向けた あと、レバーを手前に押してバケットを下げて言った「地上から約 50cmの所で止めて下さい」
 次に、シフトレバーを2速に入れてハンドブレーキを外した。そ してハンドルのドアノブみたいな所をつかんでハンドルを精いっぱ い右に切った。そうしたら、運転席より前の部分全体が右に曲がっ た。「普通の車とステアリングの仕組みが違うから内輪差の心配は ありませんよ」その状態でアクセルを踏み前進させた。そのままコー ス上に乗り上げた。途端にすごい衝撃が来た。「この車、サスがな いんだわ。だから乗り心地は最悪で疲れるよ」コース上に入ったら すぐに3速にしてアクセルをふかした。遅い割にはやたらエンジン がうるさい。2周ほどして、もとの位置に戻り、バケットを下げて エンジンを切った。
 
 いよいよ私の番である。指導員がやったようにしてエンジ ンを掛ける。で、作業用ブレーキを踏みながらバケットを上げる。 バケットの上げ加減が難しい。指導員の指示通りにバケットを操作 して、レバーをロックした。ギアを2速に入れ、ハンドブレーキを 外した。そして、左手だけでハンドルを回した。これが軽く回る。 家の車のハンドルよりも軽い。2〜3tありそうなフロント部分を まるごと動かしているということが信じられないくらい軽かった。
 で、アクセルをふかす。うるさい音を立てて車が前進する。左手 だけのハンドル操作は初めは戸惑ったが、何とか操作できるように なった。しかし、路面から衝撃が来るとハンドルがふらついてしま い、蛇行してしまう。
 また、ブレーキの利きが非常に悪い。早めにブレーキを掛けない とオーバーランしてしまう。特に一時停止しているときは思いっき り掛けておかないと、クリープ現象で前進してしまう。
 しばらく走っていたらまともに走れるようになったので、回りの 様子が見れるようになってきた。
普通車が小さく見える。なんといっても、普通車の屋根よりも高い ところに座っているのだから。
 教習時間の終わりが近づいたので、初めいた場所に戻るように指 示された。
そこで、駐車処置をとって、バケットを下ろして、エンジンを切っ た。
 

 1回目の教習は終わった。補習は付かなかった。こうして 無事に第1段階は終わった。


大型特殊教習記・第2段階

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最終更新日1999年2月25日